楽器「チター」の紹介
オーストリアやドイツ、スイスの人々が古くから育んできたチター(Zither)は上品な美しい音色によって、心に安らぎと感動を与えてきました。19世紀初頭にバイエルン王国からハプスブルグ家に嫁いだ王女エリザベートもチターを演奏し、その父マクシミリアン公爵は生涯チターの普及活動に力を注ぎました。
チターはコンパクトで持ち運びが簡単な楽器で、日本の琴(箏)のようにボディーの上に弦が左右横に張られ、5本のメロディー弦と35本前後の伴奏弦あり、6オクターブという幅広い音域があります。机や膝の上にチターを置いて、楽な姿勢で演奏できますので、ヨーロッパ・日本など全世界で幅広い年齢層に親しまれ愛されています。
チターは映画「第三の男」で知られていますが、ルネッサンスやバロック時代の音楽、チターのオリジナル曲にウィーン音楽や各地の民謡、日本の童謡唱歌などの心温まる美しい曲を一人でも合奏でも楽しむことができます。オーケストラの楽器は華やかな宮廷で発達してきましたが、チターは細い茎でありながら、風雨にも耐えて野山に咲く花のような真の強さと美しさを感じる楽器です。